こういう問題で帯を結ぶ時にイライラした事ないですか?

帯が反って裏地が見えている写真
半分に帯を折ると外側に反る現象


帯が反って裏地が見えている写真2
帯を二つに折って胴に巻こうとするとー


帯が反って裏地が見えている写真3
裏地が盛り上がって見えてしまう問題。

先に結論を述べておきますと、これは「帯」や「仕立て」の不具合ではありません

ごんちん

何故こういった現象が起こり 回避不能なのかを図解していきます

着用前の帯の状態

胴部分や手先が半分に折ると反る理由-1-1
が帯の表地。が帯の裏地を表しています。

図のように 帯は表地裏地「同じ幅」で縫われています。

着用する際に胴部分や手先を折った状態

胴部分や手先が半分に折ると反る理由-2
裏地は内側になり、表地はその外側をまわります。

そうしますと、帯の厚みの影響で外側をまわった表地よりも内側をまわった裏地の方がまわる距離が短くなる分、裏地の長さが余ります。

ごんちん

F1レースで、カーブではインコースを通った方がタイムが短くなるのと同じ理屈かな

そして結果として

胴部分や手先が半分に折ると反る理由-3
余った分の裏地が、外側にふくれあがる事で長さの「つじつま」が合います。

この現象は、生地が分厚い帯や硬い帯ほど顕著に現れます。

同じ幅で縫ってある以上、二つに折れば 大なり小なり この現象が現れます。
目立つか目立たないかの差です。

着用時に行える解決法

胴部分や手先が半分に折ると反る現象の解決法-2
内側に裏地を突っ込みながら帯を結んでください。

ごんちん

まあ、偉そうに解決法というほどのものでもないんですが・・・

帯の仕立て方によって行える解決法

同じ幅で縫うから起る現象なので、同じ幅で縫わない。

かまぼこで仕立てる-2
通称「かまぼこ」とか言われる仕立て。

稀にご依頼があるのですが、あまりオススメしません。
畳んで置いておくうちに、結局ペッタンコになって「かまぼこ」ではなくなるからです。

裏地側が動かないように縫い止めておく

こちらも、特におすすめはしませんが、どうしても裏地飛び出し現象が気になる方には勧める場合があります。
しかし、緩和するだけで完全に解消するわけではありません。

表地を裏に完全に回して仕立てる

額縁仕立て・共通
通称「額縁仕立て」などと呼ばれる仕立て方です。

裏側まで表地がまわって縫われているので少々の事では、裏地が表に出る事はありません。

帯が外側に反る問題に対しては何の効果も発揮しませんが、「裏地が見えてしまうのが嫌」という方にはオススメです。

額縁風の仕立て 注意点

この裏地飛び出し現象で問題になる事が多い袋帯や京袋帯は、帯の幅が広めに織られていない事が多いので、
額縁風の仕立てが可能な場合と、不可能な場合があります。

※裏側に回す分の生地がなければ出来ませんので。

また、多くの袋帯や京袋帯は脇を縫われた状態で販売されていますので、
その状態から修正しようと思いますと縫製を解く工程が発生し 仕立て代が急に高くなります。
安価で雑な仕立て屋さんが縫った帯は、再起不能になってしまっている場合もあります。

ですので反物の状態で帯を購入された方は、
脇を縫う段階から、ちゃんとした仕立屋に依頼して「表地の幅を1分広めに 脇をかがり縫いして」とか頼めば良い感じな仕立てになるかと思います。

ごんちん

このマニアックな記事は100万人に1人ぐらいにしかニーズがないと思うので、別に営業しようってわけじゃないです

まとめ

「帯はそういうもの」という認識で業界は動いています。
いや、認識される事すらなく帯は作られ売られていると言った方が正確です。

私のような業者が言うと開き直ってる風で感じが悪いですが、
あまり気にせず、着付けの際にグイグイ中に押し込んで使っていくのが一番良いかと思います。