着物好きの方々は一度や二度、悪徳商法で痛い目に合われた方も多いかと思います。
- 「無料で差し上げます」とか「懸賞に当たりました」とかいう売り文句で展示会に人を集めて買うまで帰さない
- 「1円セール」とか言っておいて、仕立て代などの追加料金で ぼったくる
- 安物を嘘を並べて何十万円で売りつける
- 着物初心者の方に身近な例で説明すると悪質な脱毛サロンと似たビジネスモデル
帯の仕立て屋でいえば、クズ糸を固めただけの原価数百円の帯芯を高級絹芯として売って儲けるのが流行りました。
ひと昔前、強引な販売手法が社会問題になって大手企業の倒産が相次ぎ、多くの会社がビビって態度を改めましたが
まだまだ、全然、信用回復には至ってません。
以上の背景から、私達は追加料金というものを出来るだけ発生させないように頑張っているのですが
このパターンの場合だけはお許し願いたいという例の紹介です
パッと見た感じ、刺繍がかわいく 特に構造上は問題なさそうな普通の帯です。
お客様から「ブログのネタにどうぞ」と ありがたい言葉を頂きました。
実は、帯地の製造段階で柄をつける位置が大きく間違っている帯でした。
帯全体の長さは普通なのに、たれ先~お太鼓まで(上の赤い矢印部分)が凄く長い不良品です。
はぁ??? という方の為に図解をしますと
上が正しい帯。下が今回の不良品の帯です。
間違っている帯は、正しい帯と比べて赤い矢印の部分が長いかわりに、青い矢印の部分が短くなっています。
赤い四角は、帯を結ぶために必要な部分です。
ここが短すぎると使い物になりません。
この帯を使えるようにするには、下記の工程が必要になります。
- 帯の縫製を全て解く
- 無駄に長い部分の帯地を切断して、短すぎる場所に足す
- 仕立て直す
という感じの大工事になってしまいます。
私どもも、なるべく色々なパターンを考慮して見積もりさせては頂くのですが、
そもそも帯が正しく作られてないパターンは無限大なので、全てを想定するのは難しいです。
稀な例なので、常日頃から気にする必要はありません
とはいえ、先月はWEBのお客様だけで2件も同様の例があったので記事にしました。
帯の柄位置がおかしい場合、毎日、帯に触れているものならば たたむ際に気づきますので、
メーカー側も これを正規の品として販売していた可能性は低いです。
この帯はネットで購入されたリサイクル帯だそうで、難有のB反として流れた帯が回りまわってリサイクルショップに並んだのかなぁ~と推測します。
リサイクル着物や帯の購入は、よほど信用のある店でない限り、ハズレをつかむコストも頭に入れておいた方が良さそうです。
まとめ
なんでもいいから仕入れて、なんでも売っちゃう店が増えてるのかな