帯を結ぶと たくさんシワが出来ますよね。

帯にアイロンをするのは危険
だからと言って、これは危険行為。

後述しますが、しわが気になるからと言って知識のない方が家庭用アイロンでシワを伸ばそうとしては絶対にダメです。
では、どうすればいいか、帯のしわに対してのお手入れ周辺の事を書いていきたいと思います。

帯のシワは過度に気にしなくて良い。

帯を結べば、どうしてもシワになります。
そして、「家庭で簡単に帯のシワを綺麗にする方法!」というものはありません。
帯を締めた後は「手で綺麗に伸ばしておきましょう」というぐらいのものです。

帯とは、そういうものです。

シワをどうするかよりも、帯をダメにしてしまうようなシワや折れ目を作らない為の気配りの方が大切です。

帯がダメになるようなシワや折れ目を作らない為に気を付けたい事。

帯をたたむ時に大事な部分を折らない

弊社は、お客様から預かった帯を作り帯にする仕立てについては、たぶん、日本で一番の数を仕立ててると思うんですが(たぶんですよ)
その時に最も残念に思う事が「帯をたたんだ時の折れスジが脇腹に出てしまう」という現象です。

結んだときに普通に出来るシワを気にするよりも、帯をたたむ時の折る位置にはホントに気をつけてください。

帯のたたみ方 | 袋帯、九寸名古屋帯


帯のたたみ方の詳細は、このページを見てください。

結ぶ時にたれ先と手先を間違えない

これも作り帯の仕立ての際に ちょいちょいあります。
私達、クサレ着物業者からすると何でこんな事に???と思ってしまうのですが、やっちまう時はやっちまうのでしょう。

タレ先と手先の見分け方|7つの判断基準


帯のたれと手先が分からない方は、このページをご参照ください。

帯のしわを家庭用アイロンで伸ばそうとする行為について

知識があるなら可能。ないなら危険。

帯には様々な素材が使われています。着物とは比較になりません。

帯の裏側・わたり糸
帯の裏側の様子。色々な糸がわたってます。

それらが、熱や蒸気によってどのように変化するのか、作った帯メーカーにも正確には分かりません。帯は基本的に家庭用アイロンでメンテナンス出来るようには作られてないからです。

例えば、帯を構成する要素の99%が大丈夫でも

柄と柄の間にわたっている金糸一本でトラブルになる時もあります。( 金糸は熱と蒸気で縮みやすい)
帯が洗い張りしづらいのも同じような理由からです。

「 当て布すれば大丈夫 」というのは迷信

表面の毛がペタンと寝てしまいピカっと光る現象については軽減効果がありますが、
熱や蒸気が帯に対して働くのだからリスクの軽減にはなりません。

加工や箔がベロンと取れる時もあります。

なんでネット上の情報がみんな当て布を推奨しているのに 私だけ自信を持ってNOと言えるかというと
実際に沢山の事故例を見てるからです。

ごんちん

でも、僕なら ちょっとぐらいのシワは伸ばせるよ

何故なら経験から ほとんどの帯の熱と蒸気への反応を知ってるからです。
逆にベテランでも全く新種の帯は怖いです。

しわ直しを業者に頼む場合の料金など

プレス加工で解決できる場合は安い。仕立て直しとなると高い。

プレス加工とは

巨大な物々しいアイロンだと思って頂いても さほど支障はありません。
帯の両端を大きな機械でピンっと引っ張って固定し、熱や蒸気でシワを伸ばします。
(会社によっても違いますが)

プレスでシワが伸びきるかという判断は経験に頼るしかなく、日頃からプレス加工に携わっているベテランでも100%正解とはいきません。

プレス加工で伸びないシワは、縫製を全て解いて仕立て直す必要があります。

プレス加工はお安いのですが、仕立て直しは縫製を全て解いたりしなければいけないので ちょっとお高くなります。

正確に言いますと、大抵のシワはプレス加工でも「一時的」には解消できます。
弊社のプレス加工の機械は、けっこうなパワーを有してますのでフルパワーでやれば だいたいのシワは伸びます。

でも、無理矢理に伸ばしたシワは時間経過で元に戻ります。

しわの種類と対策

たたみシワ

たたみシワとは、帯をたたんだ時にどうしても出来てしまうシワの事です。

たたみシワが出来てしまう理屈

帯のたたみシワ図

上図の青い線が表地、赤い線が裏地部分です。

帯は たたんだ時に表地が外側をカーブし、裏地が内側をカーブします。
この状態で時間が経過し生地が収縮すると相対的に「表地が長く、裏地が短く」なります。

そして、この状態で帯を広げると

帯を広げた時のシワ

長くなった表地の方がダブります。特に生地のブ厚い帯がなりやすいです。
プレス加工や再縫製で直しても、たたむと元の状態に戻る事が多いので、着用に支障がなければ「こういう帯」という事で そのまま使ってあげてください。

表地と裏地の性質が大きく異なる事によるシワ

表地と裏地のどちらかだけが、ちりめんなどの縮みやすい素材の場合、縮まない方の素材がシワになります。
このような場合、プレスも仕立て直しも一時的効果しか見込めません。帯そのものの設計ミスと言えます。

表地、または裏地単体でのシワ

しわを見るや、すぐ再縫製するしかないと結論づける方が多いのですが、
帯地が、縫製前の一枚の状態でシワになる帯には、プレスも再縫製も何の意味もありません。

素材の質が原因のシワは、素材の質を変える事でしか直せません。特に最近の裏しわは、このパターンが多いです。

袋帯の裏地のシワ
例えば、これ。コストカットの為に粗悪な裏地を使った結果です。

縫製が悪くて出来るシワ

例えば、ミシンに流し込む時に「表地は1㎝」しか流れていないのに、「裏地は2㎝」流れてしまうと生地と生地の対比が悪くなりシワとなります。
このような縫いが悪くて発生するシワは、仕立て直す事で解決できます。

複数回の使用や長い時間経過により出来たシワ 。

プレスもしくは、再縫製で解決できます。

帯のしわ云々 まとめ

  • 過度に気にしない。
  • 帯をたたむ時に大事な部分が折れない位置でたたむ。
  • 知識がない人がアイロンでシワを伸ばすのは危険。
  • 業者に頼むとプレスだけで済めば安いが、仕立て直しになると高い。
ごんちん

以上ッス