松葉仕立てとは、「手先部分だけ」を半分に折って縫製された仕立て方の事である。
松葉仕立てのメリット・デメリット
メリット
- 手先が初めから半分に折って仕立ててあるので、着装が楽である。
- 胴に巻く部分は折らずに仕立ててあるので、着装時に自分の好きな巾にする事が出来る。背の高い人は広めに締めた方がバランス良く見える。
デメリット
- たたみにくい。たたみやすさで言えば、開き仕立てが一番です。
袋名古屋帯と言えば、松葉仕立てが定番
つまり、八寸袋名古屋帯は、お客様から指定がない場合、松葉仕立てになります。
半分に折る部分を長くしても良い
手先の半分に折る部分の長さは、20cm前後が一般的ですが、自分の好みで長くする事も出来ます。
長くする事で、着用しやすさが増します。しかし、注意点が以下の二つ。
①上図の赤線部分は、帯をたたんだ時に折れスジが出来てしまいます。
半分部分を長くしたい場合は、着用時に、そのスジが表に出ないように配慮してください。
20cm前後が多い理由は、このスジが着用時にお太鼓(着用者の寸法に影響されない部分)で隠れる無難な長さだからです。
②胴部分まで半分に折っては意味がない。
松葉仕立てにするメリットは胴部分を【半分ではない巾】に出来る事なので、それを阻害しない程度に長くしましょう。
名古屋仕立てとは、手先から「胴に巻く部分まで」を半分に折って縫製された仕立ての事である。
名古屋仕立てのメリット・デメリット
メリット
- 着用が楽。松葉仕立てよりも半分に折ってある部分が長いので、さらに楽。
デメリット
- 胴回りまで半分に折ってあるので、胴回りを好きな巾で締められない。
- たたみにくい。松葉仕立てよりも、たたみにくい。
九寸名古屋帯と言えば、名古屋仕立てが定番。
「フツーに仕立てて」と言えば、名古屋仕立てになります。でも、最近は開き仕立ても増えています。たまーに、九寸名古屋帯を松葉仕立てにされる方もおられます。
開き仕立て(平仕立て)とは、「全く半分に折らない」仕立ての事である。
開き仕立てのメリット・デメリット
メリット
- 胴回りを自分の好きな巾で締められる
- たたみやすい
デメリット
- 名古屋仕立て、松葉仕立てよりも、着装の楽さ加減で劣る
九寸名古屋帯の開き仕立てと松葉仕立てには さらに2種類あります。
裏地なしバージョン
↑ 帯を裏から見た図
帯芯が剥き出しの状態になります。
とはいっても、着用時に見えるわけではありませんので機能的な問題はありません。
帯芯が見えていても気にならない方、少しでも安く仕立てたい方は こちらをオススメします。
裏地付きバージョン
↑ 帯を裏から見た図
帯芯をモスリンという軽い生地で隠した仕立て方です。
八寸名古屋帯は、帯芯を付けない場合が多いので、帯芯を隠す目的ではなく
帯の裏にわたっている糸が引っ掛かりそうで怖いという場合に その部分を裏地をつけて保護する役割を果たします。
仕立て直す時の注意点
半分に折った線は消えない。
「名古屋仕立てにしてみたけど、やっぱり、開き仕立てにしよう」となった場合、半分に折られていた所の線が残る場合が多いです。
その逆に、開き仕立てから、名古屋仕立てに変更は問題ありません。
一度読んでもまだよくわかりません、私の疑問です。
刺繍のある帯など、裏に刺繍糸が、たくさん長く渡してあり、
長い間には、切れる、つれる等、トラブルを心配してしまいます。裏地がついていれば問題ありませんが、買う前にわかるのでしょうか?
勢いで「絶対に分かる」などとタイトルをつけてしまい申し訳ありません。
八寸袋名古屋帯において、裏に渡った糸を保護する目的で裏地をつけている帯は、ほとんどありません。「ない」と思っておかれた方が確実です。
トラブルの起きやすい帯は、裏に渡る糸が細かく綴じられておらず、ぶらーんとしている感じのものです。帯を持ち上げてみて、下に垂れ下がるようなものは、かなり危ないですね。
ご心配の場合は「渡糸を引っ掛けるのが心配なので、裏地をつけて仕立ててください」と注文してみてください。
以上、ご参考になれば幸いです。
こんばんは。
帯について調べていてこちらを見つけました。どうぞよろしくお願い致します。
以前いただいた帯を前にしてこれはどういった帯?と悩んでいます。頂いた時はよく確認もしなかったのですが、いかにも袋帯的なフォーマルな感じのものだったので袋帯と思っていたのですが、広げてみたらどうも違う。
丁度開き名古屋のような平仕立てですべてフラットなのですが
長さが410㎝ほどあります。
名古屋帯は360㎝あたりが標準かと思っていたのですが、どういうものでしょうか?
開き名古屋というのもよくわからないのですが、額縁のような
仕立てです。やはりこれは名古屋帯なのでしょうか?
どうぞよろしくお願い致します。
昔の袋帯には、それぐらいの寸法のものもあります。
また、袋帯でも額縁のように仕立てる事もあります。
今現在の事情で考えますと、一重太鼓で結ぶには長く、二重太鼓で結ぶには短い感じですね。
実物を見てみないと詳細は分かりませんが、今どきの帯の型にはハマらない帯でしょうし、何帯かを気にするよりも、何に使うかを考えられたら良いかと思います。
そのままでも一重太鼓用の帯として使えると思いますし、
少し長くて使いづらい場合は、短く仕立て直される方も多いです。
お返事ありがとうございました。
そうですね。
どう使うかを考えるべきですね。参考になりました。
お忙しい中、ありがとうございました。
またどうぞよろしくお願い致します。
8寸9寸について分かりやすい解説をありがとうございました。
今まで意味が分からず着ていたことが恥ずかしいです。
お役にたてて嬉しいです。
恥ずかしいなんて事は全くないですよ。
仕立て屋として長年、色々なメーカーの帯を見て触って経験出来る機会があって、初めて判明した事もブログには書いてますので、私自身、10年前なら言い切れなかった事もいっぱいあります。
丁寧な解説でとても分かりやすいです。
一つ質問なのですが、松葉仕立てで帯芯が見えるタイプの仕立ての場合、裏側の帯の帯芯のところの縫い方はどうなるのでしょうか?千鳥かがり?
ご教授宜しくお願いします。
ありがとうございます。
帯芯の付け方は、人によって様々ですが、千鳥ありがとうございます。
帯芯の付け方は、人によって様々で こうでなければならないというルールはないのですが、千鳥かがりで付けてるとことは見たことがないです。(飾り縫いなので)
基本は、糸がピンピンにならず動きをもたせるように(でないと帯が吊ってしまう)
しかし、帯がズレないように細かく付ける感じです。
新人さんが最初に失敗するのはキツく縫い付けすぎるって点ですね。