帯をリバーシブルで仕立てる場合、仕立て屋さんに2つの点について希望を伝えておくと ちょっと得というお話です。

①メインとして使う面を伝える

「リバーシブル帯なのだから、どちらの面も一緒でしょ」と思われる方は多いと思います。
洋服の上着など他のリバーシブル製品の事は知りませんが、帯に関してはそうではありません。

帯のリバーシブルは、メインの面に比べて サブの面の見栄えが悪くなる可能性があります。

九寸名古屋帯の縫い代の型

上の写真を見てください。
帯の表面に 帯の縫い代の型が浮き出ています。

これがダメというわけではないですが、出来る事なら型が出ないほうが見栄えは良いですよね。

帯は、帯芯を縫製した側の生地が、このような症状になりにくくなります。
何故かというと、帯の縫い代の上側に帯芯を縫い付けるので、縫い代の型が表面に響きにくくなるからです。

という事で、リバーシブル仕立てを頼む時はメインで使う側の面がどちらかを伝えておきましょう。

②帯端の縫製方法の好みを伝える

縫製方法には2種類あります。

帯の千鳥ぐけの写真
千鳥ぐけ
帯の毛抜きあわせ(棒ぐけ)の写真)
棒ぐけ(毛抜きあわせ)

千鳥ぐけの説明

少し奥のところをジグザグに縫います。
帯の仕立てでは、この縫い方が一般的であり、何も言わない場合は この縫い方になります。
(角帯はのぞく)

実際の縫い方は こちらで紹介しています。

棒ぐけ(毛抜きあわせ)の説明

千鳥ぐけとは反対に「奥のところ」ではなく、ホントの端の部分を開かないようにピタっと縫い合わせます。

金属と違い、帯は収縮するので、仕立て上がり時点でピッタリ揃っていた帯端も、時間の経過で不揃いになる事があります。
それを嫌う場合は、こちらの仕立て方をお勧めします。

地方や企業によって、わりと呼び名や意味が異なります。

私の経験で危ういなと思ったのは「毛抜きあわせ」という言葉です。

ある会社では、このページで紹介した棒ぐけという縫い方を毛抜きあわせと呼び、
ある会社では、リバーシブル仕立ての事を毛抜きあわせと呼びます。

弊社では、意思疎通のミスを防ぐ為に「毛抜きあわせ」という言葉は使わず、「棒ぐけ」もしくは「帯端をピッタリ開かないように縫い合わせて」という用語を推奨しています。