帯の仕立て屋ならではの、古い帯の目利き方法

リサイクル帯を買う時の注意点

最も簡単なのは信頼できるお店や店員さんを見つける事

10点ぐらい着物や帯を手に取ってみて「これ、どうですか~?」と聞いてみれば そのお店のおよその販売スタンスは測れます。

何一つ難のない中古帯だけ取り揃えている店なんて 私の知る限り存在しませんから、欠点を全く挙げない店であれば、自分で目利きしていくしかないという事です。

自力で帯を目利きする方法

 汚れ・傷のチェック

アンティーク帯・リサイクル帯の検品図解
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上図が、着用時に見えてしまう部分です。(お太鼓結びの場合)

古い帯は、大なり小なり汚れや傷があるものです。全てを気にしてしまうと買える帯の選択肢が減ってしまいますので、以下のポイントを抑えてチェックしてみてください。

どれぐらいの汚れや傷はOKなのか?という問いは自分自身で決めるしかありません。その帯を身に付けて、目的の場所に出れるか否かです。

私が聞いた斬新な基準に「着て行く先は、お年寄りばかりで老眼だからOK」という方がおられましたが、そういう自分自身の判断で良いのだと思います。

①タレ

自分がタレに出したい部分をチェックしてください。

 ②お太鼓周辺

お太鼓で中心に持ってくる場所から、上下に20cm(余分を見てます)の範囲をチェックしてください。

③胴に巻く部分で見えてしまうところ

お腹の中心に持ってきたい柄部分を、自分のお腹の中心に持ってくれば範囲がハッキリ分かります。売り場がそんな雰囲気でない時は頭の中でイメージして少し余分を見てください。

背中の方は、お太鼓によって隠れますのでチェック不要です。どれぐらい隠れるかと言うと、下図の帯巾の長さ分です。

帯巾図解
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④手先になるところ

2カ所あるので注意してください。

意外に忘れがち !! だけど最重要な「折山」のチェック

リサイクル帯の検品・折山

上の写真で、斜めに走る薄い線が見えるでしょうか?
このスジは、帯を畳んでいた時についたもので 着用時に胴回りの見えてしまう部分にあります。

なんだかんだで古い帯を作り帯にする時に 最も多いトラブル なのです。
以前の持ち主がつけたスジであれば納得もいきますが、多くはルーズな仕立屋さんか販売業者がつけてしまったものです。だから、そういう業者が扱った帯の数だけ、大量に存在します。

さすがにお太鼓の柄部分を折ってしまう人はいませんが、前柄~脇腹の所は要注意です。

生地の弱りをチェック

リサイクル帯検品・タレ先のスレ

最重要ポイントと言えるかもしれません。消耗の激しい帯ですと、ちょっと引っ張っただけで破けます。一か所でも弱ってたら全体的に弱っていると考えましょう。(例外も多々ありますが、初心者のうちは安全策で)

特にタレ先の角(下図の赤丸部分)は弱っている可能性が高いので参考にしてください。

帯生地の摩耗
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脇の縫製糸が弱ってないかチェック

リサイクル帯検品・脇糸のほつれ

全体的に、ほつれなどが目立つようでしたら、糸が弱っている可能性が高いので部分的な補修では済まなくなり、予算に仕立て直し料金を組む必要が出ます。下図の赤線部分をチェックしてください。

帯 仕立て・脇糸の弱り
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※ 特に固い帯で かがり縫いの帯は縫製破損率高いです。

臭わないかチェック

リサイクル帯の検品・臭い

これは、冗談ではなく重要な事です。クサイ帯は、ホントにクサイです。人によっては体調不良になる程です。私は、常時、鼻づまり気味の人間なので臭いには鈍感なのですが、仕立て人生で一度だけ、吐きそうになった帯があります。

仕立て上がりか否かチェック

帯未仕立て

安いと思って買ってみたら未仕立て品だった・・・という事はよくあります。この場合、帯の価格に加えて仕立て代が必要になります。

お店によっては何もいってくれないところも多いので要チェックです。

私の失敗談として、袋帯でタレ側だけ仕立てられていて、手先側は未仕立なんてものもありました・・・やられた・・・

じゃあ、通販で中古帯を買う時は どうするの?実際に手に取って検品は出来ないし

どうしようもありません。個々の商品よりも ネットショップ運営者が信頼に足るか否かで判断するしかありません。
私も時々、新規企画品の材料として買う時がありますが、まあ、ピンキリです・・・

通販業者の泣き所として、リサイクル帯は1点1点、写真をネットにUPしなければならないので、
ヘタをすると商品の仕入よりもネットにUPする為のコストの方が高くなってしまう場合もあります。

ですので、あまりに安すぎる着物や帯は、真面目に検品などしていたら その時点で赤字になってしまいますので、
ほぼノー検品と思っておいた方がいいです。

ふくよかな方は、帯を長くする仕立て直しを視野に入れて予算を組んでください

古い帯は、帯が短いものが多いので 締められない可能性が出てきます。リサイクル帯は安いのが大きな魅力ですが、丈を長くする加工は結構な仕立て代が必要なので 本末転倒な感じになります。

帯が短くて締められない原因と解決策

昔の帯は、無駄に重い場合が多いですが、軽い帯芯に交換すれば解決

また、古い帯の中の帯芯は、カビだらけだったりしますので、かなり衛生的になります。上記の長尺加工と違い脇糸をほどく必要がないので、仕立て代は安めです。
(九寸名古屋帯は脇糸をほどきますので、安くはありません)

実際、古い帯の仕立て直しにどれぐらい料金がかかるのかは、こちらのページに載せてます。