界切線(かいきりせん)とは
上の写真の「下の方の線」の事で、この線の前後で帯を折り込んで仕立てます。(後述しますが、例外はあります。)
写真は金色ですが、何色であろうと界切線は界切線です。
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オランダ線とは
上の写真の「上の方の線」の事です。
二重線でなくても、オランダ線はオランダ線です。
界切線とオランダ線の間が「たれ先」となります。
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- 老舗の西陣織メーカー数社に聞きましたところ、「オランダ線」という言葉は全く使わないとの事でした。ほぼ、死語となっているようです。
タレ先に「西陣織」「正絹」という文字や「メーカー名」を出して仕立てた帯
古い帯でよく見る仕立て方
そのまま着用するには、ちょっと辛い状態
作り帯や、仕立て直し、リフォームなどの依頼で当社に来る古い帯に、よく見かける仕立て方です。お客様や新人スタッフから「これ、どうしたら良いですか?」と質問を受けます。
現代人の感覚では「見てください!これ、西陣織なんですよ」と言っているような、この仕立て方は許容出来るものではないでしょう。落款のように、かっこいい感じの文字ならば良いのですが、ピッカピカの金文字だったりしますし。
今は、界切線を隠す関東仕立てが主流
界切線を出して仕立てる【関西仕立て】も珍しくありませんが、上図のように【西陣ごんた屋】を出してくださいという注文は聞いたことがありません。
では、どうするか?
簡単な話で、中に折り込んで仕立て直せば良いだけです。
「この帯は文字を表に出して仕立てなければならない」という理由は何一つありません。
ただし、昔の帯は短い場合がほとんどですが、中に折り込む分、帯がさらに短くなる事も考慮してください。
もしくは、着用時に隠して結ぶ
文字の多くは、右上についている場合が多いようなので、タレの長さを短めにすれば隠して締められる場合もあります。
オランダ線がボロボロで取れそうな帯
帯のはしっこ繋がりで、もう一つ書きます。
丸帯でよく見ますが、古い帯には、オランダ線を形作る金糸などが擦り切れて、ビローンとなっている帯があります。
界切線がボロボロの場合は、【関東仕立て】にして中に折り込んでしまえば良いだけですが、
オランダ線が破損している場合は、それを修復するよりも、一度、オランダ線の全てを除去して、似た素材で、新たに作り直した方が、けっこう見栄えが良くなります。
以上、界切線、オランダ線の意味と、帯のはしっこの仕立て位置などについてでした。