羽織から帯への仕立て直し 人気ランキング(当社比)
- 1位 九寸名古屋帯
- 2位 半幅帯
- 3位 京袋帯
九寸名古屋帯と半幅帯が人気なのは、仕立て上がりが綺麗に見える事と、全て羽織の生地で まかなえるので別に生地を用意する必要がないからです。
※ どの帯も着用時に継ぎ目は出ません
帯の種類についての詳しい説明はこちら
羽織2枚を半幅帯にリメイクした例
片面は祖母の羽織、もう片面は母の羽織という組み合わせなどの場合、なんか感動します。また、羽織だと平凡に思えた色柄も帯にすると斬新だったり、色々と楽しめます。
羽織の柄が、帯に仕立て直した時に、どの部分に出るのかを写真解説
基本的には、袖部分がお太鼓になります
袖部分が唯一、幅が足りる部分だからです。
上の写真のように 羽織全体に柄が入っているタイプは、どの部分の生地も使えるので、仕立て直しはしやすいです。
胴の部分の柄は、融通が利きますので綺麗な部分を選んで使います。
帯幅との兼ね合いで胴巻き部分の柄が横向きになるという点にご注意ください。
しかし、最も人気がある黒絵羽などの仕立て直しの場合
黒絵羽も多種多様ですが「袖部分に柄がない」もしくは下の写真のように「柄はあるけどお太鼓にするのは適さない」場合は、少し話がややこしくなります。
赤く囲った部分がお太鼓に。
青く囲った部分がお腹部分の柄になります。
注意点1:お腹部分の柄の向きが横向けになります。
どんな羽織でもこの点に関しては同じですが、黒絵羽の場合は柄が大きいので考え所です。
どうしても横向けにしたくない場合は、柄のよこに継ぎ目をいれる必要が出てきます。この継ぎ目は着用時に思いっきり見えてしまいますのでオススメしていません。
注意点1:下写真の黄色い線の部分に元々仕立てられていた時のスジが出ます
帯幅との関係上、どうしても黄色い線部分(お太鼓の端になります)を使う必要が出てきます。
この部分のスジは消える事もありますし、消えない事もあります。熟練の仕立て屋でも解いてプレス加工などを施してみないと分からないという何とも冴えない話になっております。
通称「スジ消し」と呼ばれる加工で さらに緩和するという方法もあります。
絵羽部分を絵羽のまま お太鼓にもってきたい場合
赤く囲った部分がお太鼓になります。
注意点1:絵がお太鼓に美しく収まらない
背中の柄を良い感じに出すには、お太鼓というものは面積が狭い。上写真のような比較的小さ目の柄でも入りきらず中途半端な構図になりがちです。
注意点2:お腹部分が無地になる
胴部分に持って来る良い場所がなくなる場合が多いです。
上写真の黒絵羽は、袖に柄がありますが その位置が端すぎるのでお腹の柄にもってくる事は出来ません。
このように、黒絵羽から九寸名古屋帯への仕立て直しは留意点が多いにも関わらず、たくさんのご注文を頂く理由
スジが消えるか消えないか、やってみないと分からないなんて普通の商売では許されない態度ですが「形見の商品などを綺麗にして形として残しておきたい」という方が多くおられるからです。
他の帯への仕立て直しについて
今回は、九寸名古屋帯を例として説明させて頂きましたが、柄の出し方や注意点は袋帯にする場合でも同じです。
半巾帯への仕立て直しに限っては、帯巾を必要としないのでスジが出たりする心配はありません。
以上、羽織を帯に仕立て直す際のアレコレでした。
半年ぶりに帯の仕立て屋らしい記事をUPしたぜ・・・