西陣織の製造現場の惨状
「着物文化を守る為に」「産地を保護する為に」という綺麗な言葉はよく聞きます。
しかし、実際にそのような活動は存在しません。存在しているにしても 実際に帯を作っている現場の職人に良い影響を及ぼしたことはありません。
弊社がある西陣は、全国の着物や帯の産地の中でも早いうちに生産が出来なくなると言われています。
作る人がいなくなるからです。
いなくなる原因は、工賃が安すぎて生活が出来ないからです。
あちこちで論じられている「職人の高齢化」「技術の継承が出来てない」「後継者がいない」などの問題は、工賃が安すぎて多くの職人が離脱してしまった後の二次的な結果にすぎません。
ほとんどの職人は、まだまだ仕事は出来るけれども「工賃が安すぎてバカバカしい」ので転職しています。
つい最近も、弊社のご近所の西陣織の織り手さん(弊社スタッフのお母さん)が まだまだお元気なのに辞めてしまいました。
上の写真は現在も稼働している西陣織の織機です。
すぐ覚えられるような簡単な仕事ではなく、このような物々しい大きな機械を使い、壊れれば自費で修理し、なのに最低限の生活すら出来ないのです。
今も帯を織り続けてる方々の多くは、帯を織って生活が出来ているのではなく、年金で生活しつつ帯を織ってます。年金機(ねんきんばた)と呼ばれてます。
どれだけ着物を着る人が増えても 着物や帯がたくさん売れても工賃があがらなければ織り手の待遇は良くなりません。
販促用の撮影や取材の時だけ「この道50年の織り手さんです!凄い技術をお持ちなんですよ!」などと持ち上げられても生活が出来ないのに働き続ける事は出来ません。
もし、これから西陣織の織り手になろうと考えている方がおられましたら「絶対にやめるべき」と忠告します。生活が出来ないだけでなく あまりに酷い扱いに人としての尊厳まで打ち砕かれます。
帯の織り手さん達の工賃が上がる帯の紹介
弊社の通販サイトにて【作り手 応援帯】と表記がある帯をお買い上げ頂くと 実際にその帯を作っている方々に相場よりも多くの工賃が支払われます。
写真の帯はその第一弾です。
とはいえ、現時点で決まっている事は以下の3つだけです。
- みつやまは、帯メーカーから相場よりも高く帯を買う。
- みつやまは、みつやまの抱える職人に相場よりも高い工賃を支払う。
- 帯メーカーは、帯メーカーの抱える職人に相場よりも高い工賃を支払うよう努力する。
1と2は確実に実行が出来ますが、3は努力義務レベルです。
お買い上げ頂いた方に示せる透明性のようなものもありません。
写真の帯に関しては 相場の2倍ほどで買う約束をしていますが、今後 どのように値決めをしていくかも未定です。
西陣織にはたくさんの工程があり、それらを別々な人が行う分業体制で生産されています。
様々な理由から弊社が全工程の職人さんの工賃を全て把握する事は不可能です。
産地を守ろうなどという大きな話ではありませんし、みつやまにそんな力はありません。
今は、私達が目の届く範囲(ご近所)の作り手の方々が、少しだけ気持ちよく仕事ができたらいいなとだけ考えています。
【お願い】
【作り手 応援帯】は、弊社の通販サイトの作り手 応援帯のコーナーで販売しています。
値切るどころか かなり上乗せした金額で帯の仕入れを行いますので、他サイトの同ランクの帯よりも高い金額になる事も多いと思いますが、そのかわりに以下の事をお約束します。
- 低コストで作られた帯を高価な帯と偽って売る事はしません。
- 仕立ては反物の状態から全て弊社で手を抜かずに行います。
- 帯芯や裏地には粗悪なものを使いません。
義理買いは不要です。
でも、少しでも良いなと思ったら前向きな検討をお願いします。
実際の現場から直結された声を拝見できてよかったです。販売サイトはリニューアル中とのことでまだ見られませんでしたが、楽しみにしています。
ありがとうございます!
リニューアル完了しましたので宜しければ見てってください~