はたして、どのような帯が出来るのでしょうか?
西陣織の制作工程と共にご覧ください。

一緒に帯を作る仲間達

事の発端
ずっと前からペンギンさんのファッションや描くイラストが大好きだった猫さんは、ある日、ペンギンさんのデザインで西陣織のオリジナル帯を作ろうと言いはじめました。
デザイン担当 え!?私がですか?無理です!
経験ないし どうやっていいか分からないですよ
腐れ上司 大丈夫 大丈夫
好きに描いてくれたら 後はプロの職人さん達が形にしてくれるニャ
デザイン担当 ほんとですか?う~ん・・・わかりました・・・やってみます
日頃から猫さんを信用していないペンギンさんは不安な気持ちでいっぱいでしたが、楽しそうという気持ちも強くあり やってみる事にしました。
こうして、ペンギンさんも初めてですが (株)みつやまとしても初めての西陣織のオリジナル帯の制作が始まりました。
西陣織 制作工程① 図案を作る。
どのようなデザインにするか決めていきます。

TVの取材などで見る絵筆で描かれた立派な図案とは趣が違いますが、これも図案です。
デザイン担当 色々と書いてみました!
BOSS ぅむ~~~


BOSS どれもダメ
- ひょうたんの図案は、ひょうたんに付いている細いヒモやフサが良い感じで表現できないそうです。
- だるまさんの図案は、だるまさんが小さすぎて良い感じで表現できないそうです。
- 色鉛筆の図案は(以下略)
このような感じでペンギンさんの考えたデザインは全てボツになってしまいました。

このままでは、永久に図案が完成しそうもないので、猫さんとペンギンさんは帯メーカーのBOSSさんのところに何度も何度も通いました。
BOSSさん達が、過去にどんな帯を作ってきたか、得意な表現、苦手な表現、経営や製造現場の事情から出来る事と出来ない事などを知るためです。
そして、3か月ほど経過ー
やっと図案完成。

デザイン担当 ど・・・どうですか?
腐れ上司 僕の大好きなペンギンさんらしいデザインだニャ~
BOSS いいね 面白い これで行こう!

西陣織 制作工程② 紋意匠図を作る。
帯の設計図を作る工程。どこに、どの糸で、どう織るかなどを決める工程です。
新しい帯を小ロットで作ろうと思った時に最も悩ましいのが この工程にかかるコストです。
情報量が増えれば増えるほど高くなり、逆に小さい柄の繰り返しで完成するような帯だと安くなります。
同じ図案でも 紋屋さん(紋意匠図を作る人)によって、かなり帯の出来栄えが変わります。
BOSS もともとの図案どおりだと空白部分が多くて帯として物足りない印象になるから地紋を入れようか
デザイン担当 はい ちゃんと帯らしくなるようにお願いします
BOSS この帯は兎がメインだから七宝の方を抑え気味にして兎を引き立たせるか、兎自体をもう少し大きくするか、どうする?
デザイン担当 いえ このままフラットな感じで
という感じで打ち合せをして完成したのがコレ

意匠紙という。
BOSSさんの見立てで ペンギンさんと相性の良さそうな紋屋さんに担当してもらえた事もあり、
1回の修正をお願いしただけでペンギンさんの満足なものになりました。
西陣織 制作工程③ 試し織り
織ってみないと 実際にどんな感じになるのか分からないので、試し織りした生地を見ながら微調整します。

こんな感じのもの。
BOSSさんは、技術的に修正したい点があったそうですが、それはお任せして、
猫さんとペンギンさんは、たくさんの色のバリエーションの中から3点を選ぶことにしました。
腐れ上司 黒が最も箔のグラデーションが映えて綺麗だニャ
デザイン担当 私は、柿色にキュンとしました!
というような感じで猫さん推しの「黒」とペンギンさん推しの「柿色」と社内で投票した結果の「やさしい紫色」を選びました。

BOSSさんに「後は任せといて」と言われたので 猫さんとペンギンさんは以下の工程で何もしてません。
猫さんは寝てただけ。ペンギンさんは たまに横で見てただけです。
デザイン担当 ワクワクドキドキ(^^)
西陣織 制作工程④ 糸を作る
撚糸(ねんし)
複数の細い糸を撚って太さや風合いなどを調整する工程です。

撚糸機
撚り止め機(普通の鍋)撚糸機で糸を撚り合わせ、撚糸止め機(普通の鍋)でそれを安定させます。
デザイン担当 おでんのお鍋みたい!
写真の撚糸機や撚り止め機(普通の鍋)は、メーカー独自の糸を作ったり、ちょっとした思い付きをテストする時に使われる小型のもので、
こういった小回りと融通がきく製法が、大量生産の工業製品にはない個性的で魅力のある帯を生み出しています。
帯に使われている大部分の糸は もっと大型の機械で撚糸されています。
糸を染める
糸に色をつける工程です。

糸を染める機械達。すべて稼働中の写真です。

中はこんな感じ。

メーカーから依頼された色に染め上げる為に染料を足して微調整を何回も繰り返します。
デザイン担当 すごい~~~
染めの色調整は感覚で行われる為に、職人それぞれで仕上がりに個性があります。
帯メーカーは、自分達が求める色を作ってくれる職人さんを確保できて 初めてイメージ通りの帯が作れるそうです。

染め上がった糸。
左がセリシンを除去して染めた糸。右がセリシンを除去せずに染めた糸です。(セリシンとは、お蚕さんが吐いた糸についてる物質)
セリシンを除去した糸は柔らかく、除去してない糸はシャキーンとしています。
糸は、絵画でいえば画材のようなもので帯の表現を担う重要な要素です。
西陣織 制作工程⑤ 糸を織機にセットして織る
糸繰り(いとくり)
次の工程で使いやすいように糸を綺麗に巻き取る工程です。

糸繰機。これで糸を巻き取ります。

糸繰機で巻かれた糸
整経
糸繰り後の糸を帯を織るのに必要な本数と長さに整える工程です。

糸繰り後の糸(写真の右下)がー

この輪っかを通りー

ここでグルグルされてー

最後にまたグルグルされて次の工程へ
デザイン担当 すごい!でも、あまりよく分からない
綜絖(そうこう)
織機と糸を連結させる仕掛けを組む工程。
あくまで「仕掛を組む」のであって、実際に織機と連結させるのは、また別な方のお仕事。

綜絖に使う機械。

針金に糸が引っかかってます。これで織物を織る時に経糸(たていと)を上げたり下げたり出来るようになります。

作業風景。

刺してー

抜く。
西陣織で使われる経糸の数は数千本単位なのですが、それを1本1本、人間が手作業で数をちゃんと数えながら作業されます。
写真の綜絖は、6000本です。
デザイン担当 話を聞いただけで気が遠くなりました・・・
織機で帯を織る
帯を織っていく工程です。西陣は手織りもありますが動力織機が主です。



最後の工程 帯の仕立て
帯は、織り上がった状態では単なる布です。
これを縫製して帯の形にします。
腐れ上司 俺の出番だニャ~~~!!
デザイン担当 あ、仕立ては普段から見てるので要らないです
腐れ上司 え?
デザイン担当 ホームページ的にも他のページに詳しく載せてますので要らないです
腐れ上司 え?
完成

腐れ上司 おお~!こんな凄い帯になるとは~!
デザイン担当 すごい!すごい!嬉しい!

他に作った別な色の帯
腐れ上司 3色ともこちらで販売してるので見てってくれニャ~

