帯を買ってみて、何かトラブルが起きたとしても、
ほとんどの人が、これはこういうものなのか、不良品なのか、何が原因なのか、どこに相談すればいいのか分からないですよね。


ごんちん

ということで、このページでは、
僕が見聞きした帯のトラブルの原因や解決法などを羅列していきたいと思います。


不良品の定義について

このページの不良品か否かの記載は、
販売元やメーカー、仕立て屋が不良品として認めるか、認めないかという私の経験則を基準に決めています。

特定の価値観に照らして良いか悪いかという話ではありませんし、企業の姿勢や考え方によって大きなブレがあります。

帯の色落ち。帯の色が着物などに付いてしまう。

【帯が原因】不良品とは言い切れない

帯の色落ち、色うつりのしにくさは堅牢度という指標で表され、本来、ちょっとの事では色が落ちないように作られているものです。
(藍染めなど特殊なものは除く)

浴衣や浴衣の帯に関しては、低価格戦略の商品が多いため、もともと色落ちしまくるのも当たり前になってしまってますが、
最近は、昔ながらの帯メーカーが作った一見して立派な帯でも 実はコスト削減の為に染めのレベルを落としていて、色落ちしてしまうものがチラホラと出てきました。

色落ちのしやすさは試験をしないと分からない為に(帯に使われている全ての染料や素材が含まれた20㎝四方ぐらいの別生地が必要)手の打ちようがなく、
一部の大手販売店では、色落ちしてしまう帯を作ってるメーカーの帯は仕入れないという対策をしています。

昔だったら、色落ちは大問題で商品全回収した事件などもあったのですが、
今は、色落ちする帯=不良品かといえば、そういうわけでもなく、先述した浴衣の帯や、通販で売られている安く作られた帯などは、
西陣織で義務付けられてるような堅牢度どうこうなんて意識はない場合が多いので、色落ちするものとして用心しておいた方が良いと思います。

ごんちん

反面、昔より色々なものが安くなり気軽に買えるようになってるわけで、悪口が言いたいわけではないッス

解決法

ない。
メーカーがちゃんと品質表示するしかない。

色止め加工というものがありますが、完全な効果ではなく緩和するという感じであり、
消費者が自分でやるものでもなく、メーカーがやるものです。

ごんちん

よく聞かれるのですが、ガード加工に色止め効果はないです

帯の中で何かがグシャグシャになっている。

【仕立てが原因】不良品です。

帯芯がちゃんと縫製されてない可能性があります。

帯の中は消費者には見えないので、もっとも手抜きされやすい箇所です。
酷いものになると「ちゃんと縫製されていない」ではなく「縫製してない」帯もあります。

端っこがちょっとグシャっとなってる程度は、帯によってはしかたがない場合もあります。

【解決法】

販売元に問い合わせるか、仕立て直す。

帯がシワだらけ。

【帯】もしくは【仕立てが原因】色々な理由があるので一概に言えない。

帯の設計段階でのミスでシワシワになってしまう場合と、
仕立てのミスでシワシワになってしまう場合と、
年月が経つとある程度はしかたがない場合とがあります。

解決法

詳しくは下記の記事をご覧ください。

【帯のシワの手入れ】アイロンの可否・収納の仕方など

帯の表面の織り糸が浮いてたり、飛び出していたり、切れていたりする。

【その帯に関わった全ての人間が原因】不良品とは言い切れない。

全ての人間が原因っていうのは大袈裟なようで大袈裟ではありません。
運送中の衝撃による帯と包み紙の摩擦などで浮いてしまうこともあります。

唐織など浮き糸を使って、あえてふんわりと織り上げている帯は特に糸が浮きやすいです。

あまりに糸浮きの苦情が多いので、唐織の帯を作るのをやめちゃったメーカーもあります。
プロなのだから やめるも対策するも勝手ですし同情する必要はありませんが、

ほんのちょっと糸が浮いてるぐらいは暖かい目で見てほしいです。

ごんちん

近所の帯メーカーのオッチャンからの切実なお願いです

でも、大量にドバっと飛び出してたり、糸が切れちゃってるのはダメ。

解決法

買ったばかりの帯でしたら、販売元に問い合わせれば無償で直してくれる場合が多いと思います。

そうでない場合は、業者に頼むのが楽ですが、手間のかかる作業ですので飛び出してる糸の量によっては、思った以上に高くつく場合があります。

また、糸が浮きやすい帯は直してもまたすぐ浮いたりするので面倒くさくなければ自分で直す事をおススメします。

詳しい直し方は下記のページに載せています。
簡単ですよ。

帯の糸浮きの直し方|自分で出来る簡単な方法

帯仕立ての縫製の糸が表側に出ている。

【仕立てが原因】不良の場合もあるし、意図した縫製の仕方なので不良品ではない場合もある

ごんちん

色々なパターンがあるし、説明しきれないんだけど、
ちょくちょく誤解がある悲しい例をピックアップして載せておきます

かがり縫いの写真(拡大)
この帯の縫製部分を見てください。

かがり縫いの写真(縫い目を図示)
赤線の部分が縫製部分です。

仮仕立ての縫製位置
図示すると上図の赤線部分を縫ってます。



縫い目が表側に出ていますが、これは「かがり縫い」と呼ばれる糸が表に出る縫い方でありミスや手抜きなどではありません。

袋帯や京袋における帯の両脇の縫い方は大きく分けて2種類あるのですが、
「かがり縫い」の方がコストがかかる縫い方なので、価格競争が激しい最近は「かがり縫い」をするメーカーはめっきり減っています。

そんな中、わざわざ「かがり縫い」を選択しているメーカーは、商品の品質に大なり小なりこだわるメーカーなのであって、
表に糸が出てるから手抜きと言われるとあまりに可哀そうなので、ここに書いておきます。

かがり縫いのメリット、デメリットなどを知りたい方は下記ページへ

【 袋帯の仮仕立て 】 帯の品質への影響

帯がヘニャヘニャ。柔らかすぎて結びづらい。

【帯芯が原因】不良品とは言い切れない。

柔らかくてヘニャヘニャな帯は沢山あります。
そんな帯達を使いやすい硬さに調節するのが帯芯の役割です。

ですので、やわらかすぎるという状態は帯芯が原因と言えます。

使用されている帯芯の種類が間違っているパターンと、
使っているうちにヘニャヘニャになってしまったパターンがあります。

最近はコスト削減のために中国製の糸数が少ない帯芯が使われる事が増えており(弊社SHOPサイトでは690円で販売)
この帯芯は、最初は糊(のり)で固めてあるのでマシなのですが、使ってるうちに糊が砕けてヘニャヘニャになります。

また、本来は帯芯を入れて仕立てるべき帯に、帯芯を入れずに仕立てて販売するケースも増えています。
帯芯で硬さ調整すべき帯に 帯芯を入れないのですから柔らかすぎるのは当然です。

ただ、この問題はどこかの業者が良いとか悪いとかいう問題ではなく、
「適切な帯芯を入れる」という行為の価値が消費者に全く知られてない為に、価格競争の激しい現在の着物業界では、こだわった方が負けるという結果になってしまってるからです。

ごんちん

ちなみに今や国内で帯芯を作ってる会社は数社しかない

解決法

帯芯を入れて仕立て直す。
もしくは、帯芯を入れ替えて仕立て直す。

帯が硬すぎる。重すぎて使いづらい。

【帯】または【帯芯が原因】不良品とは言い切れない。

昔は、硬いほうが良い帯、重い方が良い帯という価値観があった為、
重い帯は多かったですし、さらにその重い帯を糊(のり)を大量にかけて硬くしてましたし、
帯芯も重いものが使われる事が多かったです。

最近の着物業界は「昔から何も変わってない、変わろうともしない」と叩かれる事が多いですが、
確かにその通りかもしれませんが、このへんの事情は大きく変わってます。

ごんちん

最近だと「軽い綴れ帯」とか、メーカーさんも色々と工夫してるんですよ

解決法

帯芯を抜いて仕立て直し。
または、帯芯を軽いものに入れ替えて仕立て直し。
または、帯芯を抜きつつ裏地も軽いものに変えて仕立て直し。

帯の裏地が表側から大きく見える。

【帯】または【帯芯が原因】帯によってしかたないものもあれば、不良品に近いものもある

原因は無数にある為、お問い合わせが多いケースをピックアップします。

ほんの少し裏地が表側に出てしまってる程度でしたら、やむをえない場合も多いです。
例えば、脇からスッと線1本分ぐらいの裏地が見えてしまってる程度でしたら、帯の生地質によって(例えば表裏の厚みに差があるなど)は やむをえないです。

最も知っておいてもらいたいケースは、縫製前に「帯地を縮める」という工程をコストカットの為に省いてしまってる為に
時間の経過でどんどん表地が縮んで、裏地が表に出てくるというものです。

その他には特殊なお問い合わせで下記のようなものもあります。

帯を結ぶ時に半分に折った胴部分や手先が外側に反ったり、裏地が出てきて表から見えてしまう現象の解説

解決法

一概に言えませんが、仕立て直しで大半は改善出来ます。
でも、表地が縮んで狭くなりすぎている場合、仕立て上がりの帯幅も狭くなります。

袋帯や京袋帯の場合、販売されてる段階から脇縫いがされている場合が99%なので、
帯地を縮める工程を省いて縫われてしまった帯は修正が難しいです。

もし、反物状態で手に入れる事が出来るのであれば、反物状態で手に入れて、
ちゃんとした仕立て屋さんに頼むのが一番です。

ごんちん

袋帯や京袋帯は、丁寧に反物から仕立てると めっちゃ綺麗になるんだよ

帯が短すぎて結べない。

【帯が原因】不良品とは言えない

今現在、袋帯の場合は西陣や弊社取引先大手では1丈1尺5寸(4m35cmほど)以上の長さにしましょうという なんとなくのルールがありますが、
(守ってないメーカーもありますので、なんとなくな規範です)
それが満たされていないからといって不良品とは認められないと思います。

また、リサイクルで手に入りやすい昔の帯は、もっともっと短いものが多いです。

解決法

下記記事をご覧ください。

帯が短い!締められない!原因と解決策

帯が長すぎて結びづらい。

【帯が原因】不良品ではない

帯は、SMLなどサイズを分けての販売はあまりされていませんので、
ある程度はふくよかな方にも着用できるように長めに作られています。

ですので、多くの方にとっては帯は長すぎるように感じるというのは普通の状況です。

解決法

帯を切って仕立て直す。

端っこを切るだけで済む帯でしたら安くつきますが、
一度全ての縫製を解いてから仕立て直す必要がある場合は、ぼちぼちの仕立て代になってしまいます。

でも、細身の方の場合、これから出会うほとんどの帯を長く感じるでしょうから
仕立て直しではなく、長い帯の扱いに慣れるというのが最も現実的な解決法かもしれません。

二重太鼓の帯は面倒くさいし、もう短くして一重太鼓の帯にしてしまおうという方は最近すごく増えています。

【知らないと損】袋帯を九寸名古屋帯に仕立て直しする前に

まとめ

ごんちん

読み返してみると「〇〇とは言い切れない」って表現が多すぎて微妙な記事ッス・・・