現在、新しく織られている帯の標準的な長さと巾を載せています。

ごんちん

注意点も書いてるから最後の方も流し読みしてね

袋帯など二重太鼓の帯

長さ

袋帯の寸法・長さ

8寸2分(31.1㎝)~8寸3分(31.5㎝)

補足説明

袋帯は、仮仕立て状態(脇を縫われた状態)で売られている場合がほとんどなので、
帯幅を自分好みに変えて仕立てる事は難しいです。(難しいというか機会が少ないです)

もし、袋帯を反物の状態で手に入れることが出来た人は、仕立てる時に帯幅の事も相談してみるといいですよ。(希望があれば)

九寸名古屋帯 八寸袋名古屋帯 京袋帯など一重太鼓の帯

京袋帯の寸法・長さ

8寸2分(31.1㎝)~8寸3分(31.5㎝)

補足説明

九寸名古屋帯と八寸袋名古屋帯は1丈(378㎝)までの長さが圧倒的に多いです。
京袋帯は1丈5寸(397㎝)ぐらいも珍しくありません。

九寸名古屋帯は、仕立ての際に帯幅を調整できます。
以前は、さほど見かけなかったのですが、このブログでこういう情報を発し始めてから帯幅調整のご希望が増えてます。

名古屋仕立て(胴巻き部分を半分に折る仕立て)の胴巻き部分は、
図で表記されてる半分の幅 4寸1分(15.5㎝)~4寸1分5厘(15.7㎝)になります。

でも、名古屋仕立てでも胴部分の幅だけを変える方法もあります。

逆に八寸袋名古屋帯は、基本的には仕立てによって帯幅を変えることは出来ません。

九寸名古屋帯の長さの把握において、よくある間違い

この間違いは事故になることが多いので、九寸名古屋帯の仕立てで「長さ指定をしようと思う方のみ」読んでおいてください。

九寸名古屋帯・名古屋仕立ての垂境の位置
上図の赤丸の場所は「留めの位置」「三角の頂点」「垂境」などと呼ばれています。

この「留めの位置」を基準に寸法を指定しようとすると、一定確率で事故になります。

九寸名古屋帯・名古屋仕立ての長さ把握の留意点

留めの位置が重要になるのは、上図のAの長さです。

Aの長さとは、お太鼓の柄の中心から留めの位置までの長さの事です。
Aの長さが短すぎると、帯を結ぶときに「帯枕が入らない」などの問題が起こります。

よくある例ですと、昔ながらの仕立て屋さんが、
「帯の長さは昔と変わっている」のに「昔ながらの寸法」で「タレ先から留めの長さ」という考え方で仕立てると、
時々この「帯枕が入らない状態」になります。

だんだん我ながら分かりにくい説明になってきた感じがありますが、
要約しますと、留めの位置を基準に帯の長さを説明するのは危ないという話です。

柄の位置が変われば留めの位置も変わるからです。
それなりに数をこなしている仕立て屋であれば、留めの位置は指定しなくても、普通はちゃんと結べる位置で留めます。

ごんちん

え~・・・
全く何を言ってるか分からないという声を受け、このへんの注意点を詳細に解説したページを作りました・・・

半幅帯

半幅帯の寸法・長さ

4寸2分(15.9㎝)~4寸3分(16.3㎝)

補足説明

メーカーや販売店の考え方によって、適切な長さに大きく差があります。
最近、袋帯(二重太鼓用の帯)をそのまま流用して半幅帯を作っているメーカーも多く、その場合は4m50cm(ふくよかな方でない限り、もてあます長さ)ほどの長さになってます。

半幅帯は多様な結び方があるので、長い目に作っておけば良いという考え方もあります。
でも、多くの結び方は一般的な帯の長さの中で生まれたものですので、
急にポンっとやたら長い帯を渡されても熟練者はともかく、一般の着物ユーザーは困ってしまう場合が多いです。

短めの帯と長めの帯の2サイズ展開で売られている場合も多いです。

角帯

角帯の寸法・長さ

2寸3分2厘(8.8㎝)~3寸(11.3㎝)

補足説明

大抵の人にとっては、凄く長いです。
長い部分を折り返して調整して結ぶ場合がほとんどです。

私は仕立て屋なので、自分で自分にピッタリなように短く切断して仕立て直せばいいのですが、
折り返して結ぶのに慣れてしまってるので、特に不便も感じずそのまま使ってます。

尺・寸・㎝の変換

  • 1丈=10尺
  • 1尺=10寸
  • 1寸=10分
  • 1分=10厘

鯨尺から㎝の換算は「1寸 = 3.78787878㎝」です。

鯨尺の他に金尺というものもあって、
着物の世界でも一部の地域では金尺が使われているので注意が必要です。

ごんちん

でも、15年以上前に大手さんを含め複数企業で「ややこしいから鯨尺で統一しよう」という取り決めをしたので、
金尺を使ってるところは減ってるかも(自信はない)

帯の長さについての注意点

このページが称する「帯の標準寸法」とは何か

昔々、私がこの会社(みつやま)に入社した当時は、もっと各メーカーで長さはバラついていました。
でも、ふと気づけば今はあまり例外もなく、ここで記載されている寸法で帯は作られています。

ですので、このページのいう標準寸法はディファクトスタンダード(事実上の標準)と言えます。

弊社に昔からある業務マニュアルの寸法とあまりにピッタリなので、仕事がしやすい反面、なにか不思議な感じはあったのですが、
考えてみれば、大手販売店やメーカーさんなど、色々な方に帯の寸法を聞かれるたび、
長い間、ずっと弊社の業務マニュアルのコピーを配ってきたので「そりゃそうなるかな」とも思いました。

ごんちん

別にイキってるわけじゃなくて
今現在、正しいとされている帯の寸法なんて大した歴史もないよという話です。

ですので、上記寸法と違うからといって不良品の帯というわけではありません。

例えば、ある老舗の帯メーカーさんは、タレ先~お太鼓までを3尺3寸で作り続けていて、それは少数派ではあるのですが間違っているとは思いません。

ただし、多くの方がこの寸法である事を前提に帯を購入したり、サービスを提供していたりしますので、
突然に大きく変える場合は用心が必要です。

帯は、帯全体の長さなどよりも柄と柄との位置関係の方が重要です。

重要なので、九寸名古屋帯の長さ説明のところにも書いておりますが、帯の長さを考える上では柄と柄の位置関係が最重要事項です。
柄の付き方を無視して一部分だけ長くしても ほぼ意味はありません。

帯は多くの方にとって長めに作られています。

帯は、SMLなどサイズ別ではなく、ワンサイズでの販売が多いので、
ある程度 ふくよかな方でも着用できるように長めに作られています。

ですので、このページに記載されている帯の長さは、市販するうえで無難な長さであって、
着用される方にとってベストな長さではありません。

帯は仕立ての際に長さを調整できるものもあります。

ごく一部のものに限りますが「可能でしたら出来るだけ長く」などの要望は伝えておいて損はありません。
着物を帯にリメイクされる場合などは、自由に長さを調節できる場合が多いので、仕立て屋さんと相談して自分に合った長さにしてください。

古い帯は、このページの表記よりも短いものが大半です。

昔の人は、今の人よりも小柄だったからです。
例外として、今でもコストカットの為に短く織っている帯メーカーは稀に見かけます。

別な布を足して帯を長くする際の布を足す位置について

帯を長くする際に布を足す位置

足し布は上記AとBの2カ所に必要です。

「中無地だけを長くすれば良い」というのは間違いです。

上図Aの長さも着用者のサイズに比例するからです。
(全通柄の帯や六通帯でいくつかの条件を備えた場合は1カ所で可能な場合もあります。)

何故、このようなマニアックな話をピックアップして書いてるかというと、
「1カ所を切るだけで良かったんじゃないの?」「中無地を長くするだけで済んだんじゃないの?」という苦情は実際に多いからです。

ウエストやヒップが何cmまでなら足し布不要なのか?

事故を防ぐ為、記載していません。
着用される方の結び方や癖、帯によって前提条件が様々なので一概に説明する事は難しく、
もし間違うと大きなトラブルになるからです。

数字の計算はあくまで目安にすぎないので、我々仕立て屋でも計算よりも多少の余分をもたせて長めに仕立てさせて頂く場合が多いです。